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韻 fumu.in

「声に出して踏みたい韻」著者のブログです。

韻の踏み残しが気になった話

ほぼ半年ぶりの更新だ。

 

日本人の韻リテラシーは上がったか?

このブログの目的はずっと変わらず、「日本人の韻リテラシーを高めること」。

日本人の韻リテラシーはOECD諸国の中で群を抜いて低いんだけど(適当)、ここ最近は空前のフリースタイルブームで韻も身近な存在になったから、もうこのブログを更新する必要もないかと思っていた。

 

そんな中、三茶を歩いていたらたまたま見つけてしまった、この看板。

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絶対音感がある人は、あらゆる音が「ドレミ」に聞こえてしまって物事に集中できないっていう話はよく聞く。僕には絶対音感のような高尚な能力はないんだけど、絶対「韻」感は持っているので、この看板が目に入った瞬間どうしても気になってしまって、集中できなくなってしまった(ポケモンGOに)。

 

意味を変えずに、韻だけを踏む

これは僕に限った話ではなく絶対韻感がある人は皆、「三軒」という文字を見た瞬間、「あんえん」という母音に変換される。絶対音感のある人が「ドレミ」に聞こえるのと同じ理屈だ。

その瞬間、すぐ上の「安全」という文字が目に入ってこれも「あんえん」で同じだってことに気がつく。

 

...ってことは、あれなんだよ。あと少し頑張れば、絶対いけるんだよ、こういうのって。踏めるんだよ。

何が言いたいかというと、どうせ意味同じなんだから「安全なまち 三軒茶屋に」とかにしろよ!ってこと。

 

「安全なまち 三軒茶屋に」なら、

 

あんぜんな まち

さんげんぢゃやに

 

で、綺麗に母音を

 

あんえんああい

 

で揃えることができる。

 

しかも、こっちのほうが七七調でリズムも良くない?

五七五七七の短歌の下の句みたい。「安全なまち 三軒茶屋に」

 

え、シンプルにしすぎ?「みんなでつくろう」 とか「安心」とかが削られた?

じゃあ前に付け足せばいい。韻は最後だけ合わせればいいんだから、言いたいことは前で補えばいい。

 

みんなでつくろう 安全なまち

安心できる 三軒茶屋に

 

これでどうだ。意味を全く変えることなく、韻だけ踏むことに成功した。

 

まとめ

野球でエラー率を計算するときに「守備機会」という言葉が使われる。簡単に言うと、自分のところにボールが飛んできた回数だ。

 

今回の件は、貴重な「押韻機会」の損失だ。

野球で一塁手がボールを捕ったのに、なぜかベースを踏まなかったら、間違いなく監督に怒られてしまう。

 

それと同じで、そこに韻があるのに踏まなかったら、僕は怒って半年ぶりにブログを更新してしまう。

 

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デート中に韻を踏んでしまう彼氏が気をつけるべきたったひとつのこと

この記事が話題なので、一言だけコメントする。

detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

 

韻に踏まれたら終わり

この彼氏がダメなのは、

真剣な話をしていても、デートのプランを立てていてもなにかにつけて韻を踏みます。

とあるように、つまり、デートの行き先まで、韻に引っ張られている点だ。

 

本来は、伝えたいことをよりうまく伝えるために、韻は踏むべきもの。それなのに、この彼氏の場合、最初に韻ありきで行動が決まってしまう。

 

想像するに、デートの行き先を決めるにしても、

今日は仕事は5時まで

じゃあ二人で行こうとしまえん

という感じで、本当はディズニーランドに行きたくても、韻に引っ張られてデートの行き先が、としまえんになってしまうのだろう。

こういうのを、「韻を踏む」のではなく、「韻に踏まれる」と言う。

 

言いたいことをリズム良く言うために韻は踏まれるべきであって、韻に引っ張られて言いたいことが言えない世の中になることについては、1998年に反町隆史が「ポイズン」という曲の中で警鐘を鳴らしている(嘘)。

 

デートでの韻はサブリミナル効果を狙うべき

じゃあどうすればいいか。解決策はひとつ。デートでの韻は、サブリミナル効果を狙うべきだ。

知恵袋のこの質問をさらに読むと、

どちらかというとフォークソングやクラッシックなどが好みで、ゆったりと聴きたい、要は真逆の人間です。

と書いてある。なんだ、彼女はミスチルとかはきっと好きなんじゃん!

 

ミスチルもたくさん韻を踏む。それなのになぜミスチルは幅広いリスナーに広く受け入れられるのかというと、そもそも言ってることがいちいち感動的すぎて韻どころではないからである。

簡単にいうと、韻踏んでてもバレないから。だからみんな聞いてくれるの。詳しくは前にこの記事に書いた。

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つまり、デート中は、基本的には感動的なことを言って、その中でさりげなく韻を踏むことによって、サブリミナル効果を狙うべき。韻に気付かれないほどさりげないのが正解だと、自覚するべきだ。

 

じゃあどうしたらいいか

つまり、ミスチルの歌詞っぽく韻を踏めばよい。

5時に仕事が終わって、としまえんに行かずにディズニーランドに行くためには、ミスチル風に、こんな感じで誘うと良い。

ねぇ僕たちは巡り合って何

経つの?今日という日を寝ずに待ってた

朝、めざましの占いを見たよ

ラッキーアニマルはねずみだってさ

 

以上、この歌詞の著作権は放棄しますので、みなさんご自由にお使いください。あとは知りません。さよなら!

 

 

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オリラジ「PERFECT HUMAN」の韻を解説する

オリラジの「PERFECT HUMAN」が人気だ。

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Mステ出演も果たし、YouTubeの再生回数はもうすぐ2千万に達しそうだ。このネタがなぜネット上で話題になったのか分析したこの記事も話題になった。

backyard.imjp.co.jp

コンテンツを作る身として、とても勉強になる。

さて、このブログでは、なぜ「PERFECT HUMAN」がバズったのかを、「韻」という観点から解説する。逆にいうと、韻という観点からしか、解説しない。もう慣れたと思うけど、よろしく。

 

まず、藤森パートの韻はどうでもいい

この曲は藤森のラップから始まるから、この部分の韻の解説を期待されそうだけど、その期待には応えられない。なぜなら、こんな感じだからだ。

時は来た彼こそ真の支配

彼の前にひざまずくのは敗

の言葉 彼に乱

かけろ拍

この部分の韻は、とても甘い。 全部通して母音が合っているのは「しゃ」の一音だけで、かつ同じ「しゃ」でも漢字で書くと「者」になるものが半分以上なので意味に多様性がない。

たとえば、「支配者(しはいしゃ)」と言ったなら、「いあいあ」で母音だけを合わせればいいのだから、「みたいな」「嫌いだ」「期待感」などで踏むべき。「しゃ」を子音まで無理に合わせる必要はないから、そんなことは忘れて4文字すべての母音だけを合わせにいくべき。

これは初心者にありがちな「子音まで合わせようとしてしまうがあまり、母音の合っている文字数が減ってしまう」現象だ。(これが本題ではないのでこれ以上は突っ込まない。より詳しく知りたい方は、過去に書いたこの記事を参照)

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まぁ、お笑い芸人のネタなんだから、韻についてうるさく言うつもりはない。この曲が気持ちいいのは、サビだ。

 

この曲が韻的に評価できるのはサビ

サビはこんな感じ。

na ka ta nakata

na ka ta nakata

na ka ta nakata

I'm a perfect human 

これの何が韻なのか、と思うかもしれない。「ナ!カ!タ!ナカタ!」と連呼するだけだが、よく考えたら、これは全部「あ」段の音だ

そしてその後の「I'm a perfect human」の部分は、「ア マ パーフェク ヒューマン」という感じで歌うが、その最初の3文字「ア マ パ」が、ここも全部母音が「あ」になっている。 

 

つまり、「ナカタ」自体がすべて「あ」の音というだけで結構気持ちいいのに、その藤森のコールを中田が「ナカタ」と踏んでいる「アマパ」で受けて、登場するのだ。登場の仕方として、かっこよすぎる。これが、この曲サビが聴いていて気持ちいい理由だ。

 

我々とオリラジの違い

実は、僕の所属するラップユニットBeaglooveに「中田」ではないが「田中」がいる関係で、我々も似たようなことを5年前にやったことがある

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 この動画の3:20 あたりからの歌詞は、

(...Wonderlandは)

無いからじゃあ

やっぱRapは中々ならば

貴方がまたカマさなきゃ

田中様!

(ここから田中登場)

あなた方が「あ」ばっか

放ったからって

そんなもんにゃ縛られんぜ 

この部分の発音(音が乗っている文字)をひらがなにすると、「なからじゃやぱらぱなかなかならばあなたがまたかまさなきゃたなかさま」と、31文字連続「あ」の音で田中様を呼び出し、その田中様が「あなたがたがあばかはなたから」と、14文字連続の「あ」で返しながら登場してくる、という仕組みだ。

 

しかし、これだけ「あ」の音を合わせても我々は人気なくてオリラジが人気なのは、我々にカリスマ性がないことと、「あ」の数とかみんな別にどうでもいいからに他ならない。

 

「あ」踏みの世界へようこそ

ちなみに、ここまで「中田」「田中」を挙げたが、他にも「赤坂」「中畑」「山川」など、下の名前でも「まさや」「さやか」など、「あ」の音だけで構成される名前は挙げたらキリがない。

同じことを「え」でやってみると、めちゃくちゃ難しい。たぶんひとつも思いつかないと思う。

 

人の名前や地名に限らず、日本語は母音が「あ」だけで構成される言葉が圧倒的に多い。そういう事情もあって、「あ」で踏むことでキャッチーさを得ている曲は結構多い。 

たとえば「おさかな天国」は、

サカナサカナサカナ

サカナを食べると

アタマアタマアタマ

アタマがよくなる

と言った具合に、「サカナ」「アタマ」「あああ」であることをうまく使っている。 

 

しかしながら、「あ」で縛りながら、意味も通すのはなかなか難しい。

そこで、韻の天才、LITTLE氏のこのバースを最後に紹介して、お別れしたい。「彼方(かなた)」という曲から、以下の部分。(ちなみに彼方も「あああ」)

ただただワガママあらわな裸は

華やかさか はたまた儚さか

あからさまな浅はかさが若さならば

やっぱ輝かなきゃ 

上の歌詞で赤く色付けした部分が、すべて「あ」だ。え? 赤い部分しかないって? うん、だって、全部「あ」なんだもん

 

「ただただわがままあらわなはだかははなやかさかはたまたはかなさかあからさまなあさはかさがわかさならばやぱかがやかなきゃ」 

 

これ、全部「あ」の音だ。数えてみたら、57文字あった。

そして、何がすごいって、これだけ全部「あ」にしながら、ちゃんと意味の深いことを言っている。本当に、恐れ入る。

(この曲の話もしたのにカットされてしまった対談が、こちら)

realsound.jp

 

まとめ

話が「あ」の話になってしまったが、本題であるオリラジの話に戻す。

あれ、ていうか、オリラジの「あ」の数いくつだっけ... まぁいいや、結論。オリラジのこの曲が人気なのは、ずばり、ダンスがキレッキレだからだ。

 

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「段駄羅」という言葉遊び

押韻(韻を踏むこと)だけでなくダジャレや回文などの言葉遊びについても本の中で紹介したけど、最近、「段駄羅」という言葉遊びをzyooから教えてもらってこれが非常に興味深いので、紹介したい。

ちなみにzyooは、僕が所属するDA.歌詞屋というラップユニットのメンバーだ。

段駄羅とは

Wikipediaによると、

段駄羅 (だんだら)は石川県能登半島輪島で、漆塗り職人の仕事場を中心に、かつて大流行した五七五の短詩型文芸で、言葉の二重構造を楽しむ言葉遊びのこと。形の上では俳句川柳と同じく五七五であるが、中の七音が二つの異なる意味を持って、上の五音と下の五音につながる構造をしている。

ということなんだけど、百聞は一見にしかず。

 

たとえば、

また潜る あまいきすって 恋の味

という五七五において、真ん中の「あまいきすって」の部分は「海女、息吸って」「甘いキスって」のダブルミーニングになっている。

そして、「また潜る」という上の句が「海女、息吸って」につながっていて、「甘いキスって」が下の句である「恋の味」につながっている。

 

もうひとつ、

さあ戦 かぶとおかぶり 高騰し

では、今度は「かぶとおかぶり」「兜をかぶり」「株十日ぶり」のダブルミーニングだ。

「さあ戦」「兜をかぶり」につながって、「株十日ぶり」「高騰し」につながる。

 

個人的には五七五って、音の数を合わせるだけじゃ拘束条件が少なすぎて何とでもなるあたりが好きじゃなくて、昔から宿題とかで作っていてもあんまり楽しくなかった(こういうことを言うと風情がないと言われるけど)。でも、これぐらいの拘束条件があると、かなり考えるのが楽しくなる。

と思って実際考えようとしてみると、意外と難しくて焦る。こんなことを仕事しながらやっていた漆塗り職人、まじリスペクト。

 

段駄羅ラップ

そして、この段駄羅という言葉遊びを僕に教えてくれたzyooは、なんとこれをラップにしてしまった。真ん中の七文字のダブルミーニングにとどまらず、上の句と下の句で韻を踏むということに挑戦している(にとどまらず、無駄な小ネタを盛り込んだ10分もあるクソ長い解説ビデオまで作ってしまった)

www.youtube.com

いやー、やっぱり、日本語の言葉遊びはとても面白い。今後も言葉遊び職人、zyooの活躍に期待。

 

ちなみにそんなzyooと、この僕が一緒にラップをやっているユニット、DA.歌詞屋の最新曲はこちらです。こちらも是非。 

www.youtube.com

 

まとめ

他にもあまり知られていない面白い言葉遊びがあったら、Twitterとかで教えてください。

 

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ミスチルが踏む韻の進化

先週の金曜日、ニッポン放送SuonoDolce「カフェデジュネ」に出演させてもらって、韻の解説をさせてもらった。

ameblo.jp

その中でも触れた、ミスチルの韻について、ここで詳しく解説したい。

 

ミスチルはいろんなタイプの韻を踏む

昔からミスチルは韻を多用してたけど、その踏み方は今と比べると、もう少しあからさまで踏み方が荒く、「韻のためなら何でもする、悪い奴ら」というイメージだった。

 

たとえば「名もなき詩」の

Oh darlin'

僕はノータリン

なんかは、「Oh darlin'」と韻を踏むために「ノータリン」と言ったはいいけど、これが放送禁止用語ではないが不適切な用語ということでNHKでは歌詞が差し替えられて放送されたらしい。ラッパーによくある、韻に引っ張られて言いたいことが言えないパターン。英語で言うとポイズン。

 

その後、「シーソーゲーム」では

シーソーゲーム

She so cute 

という頭韻のために、be動詞をすっ飛ばして英文法を無視したこともあれば、「ニシエヒガシエ」では

ニシエヒガシエ

必死で猛ダッシュです

と、これは母音が「いいえいあいえ」「いいえおあうえう」で微妙に違うから、この違いをカバーするために「もうダッシュです」の部分を「みぃだしでぇえs」みたいに歌い、かつ最後の「す」に音を乗せないことにより、「必死で猛ダッシュです」の母音も「いいえいあいえ」のように無理やり聞こえさせるなんていう、荒技もあった。

 

これが意外といけると思ったのか、その直後のシングル「終わりなき旅」で

わりなき旅

「わぁぁ(り)なぁぁ(き)たぁぁぁぁぁ(び)」って、最後の「び」に一音乗せないという荒技をもう一度繰り出し、この曲をカラオケでかっこよく歌いたい高校生男子を、「び」をどのタイミングで言うか問題で悩ませたこともあった。

ちなみにこの韻は、

わーり

なーき

たーび

の母音が全部「あーい」になっているという仕組みだ。

 

さらにこれに味を占めたことにより、「フェイク」のサビでは

階建ての

明日へと Take off

で、「階建ての」「明日へと」の母音を「あいあえお」で揃えてキレイに踏んだあと、二番では

ら Take off

と、「(ち)かー(に)かー(いの)かー(こ)かー(ら)」と、音が乗ってない文字(括弧に入れた文字)を無視するとすべて「か」になるようにするという、「終わりなき旅」の強化版を披露したりした。

 

どんどん進化していくミスチルの韻。ちょっとdisっているように聞こえたかもしれないけど、むしろ逆で、僕はこういう韻を踏むための荒技が大好きだ。というか、そもそもラップ以外の音楽で日本で韻を踏むアーティストはとても少ない中、韻を頻繁に踏んでくるミスチルは最高だ。

 

韻を極めた最近のミスチル

そんなミスチルだが、最近では韻を曲の中にナチュラルに入れすぎて、誰にも気づかれないことが多い。

個人的に一番お気に入りの「GIFT」という曲で解説する。


Mr.Children「GIFT」Music Video

 

うーん、感動して、韻どころではない。涙で韻がよく見えない。

 

この曲の中で一番わかりやすい韻は、

僕は探してた 最高のGIFTを 

の部分。次に同じメロディーで

僕の両手がそれを渡すとき ふと謎が解けるといいな...

 というのがあって、「GIFT」「きふと」が同じ母音「いうお」で韻を踏んでいる。

 

さらにこのあと、二番の同じ部分の歌詞は

「もうやめにしようか?」自分の胸に聞くと

なので、ここも「聞くと」の母音がさっきと同じ「いうお」になっている。この三つを並べると、

ぎふと

きふと

きくと

なので、いつも言っている「韻の踏み始めと踏み終わりは、母音だけじゃなくて子音も合わせる」テクニックも自然に使われている。この場合、最初の文字がすべて「き」(または「ぎ」)で、最後の文字がすべて「と」

 

実は、この話をいろんな人にすると、意外とこの韻にも気付いていない人が多いことに驚く。理由は簡単で、ミスチルは言ってることがいちいち感動的すぎるから。メッセージ性のほうに耳がいってしまって、音として言葉が入ってこない。

でも、たとえ韻に気付いていなくても、心のどこかで気持ちよかったり、ふと口ずさむときに思い出しやすい、なんてことがある。これが韻のサブリミナル効果。気を抜くと韻に洗脳されてしまうから、みんな気をつけたほうがいい。

 

そして...これがミスチルの韻の完成形

上の例はGIFTの韻の基本。この韻を踏まえた上で、もう少し深いところにいく。

 

サビに入る直前の部分、

長い間君に伝えたくて

強く握りしめていたから

もうぐちゃぐちゃになって

色は変わり果て

まず「長い間」の部分。音が乗っていない(韻的には無視できる)部分に括弧を付けると、「なが(い)あ(い)だ」となり、すべて「あ」の音になっている。「↓な ↑が ↑あ ↓だ」のように、真ん中の二文字の音程が高くなっていて、その真ん中の「があ」とその後の「から」が両方母音が「ああ」で対応しているようにも聞こえる。

 

その後、 「た(く)て」「な(っ)て」「はて」の母音がすべて「あえ」になっている。再び、括弧内の文字は、その部分には音が乗っていないので韻的には無視することにする。

 

さてこの部分、二番では歌詞がどうなっているかというと、

知らぬ間に増えていった物も

まだなんとか背負っていけるから

君の分まで持つよ

だからそばにいてよ

今度は、「しら(ぬ)まに」の部分が「↓し ↑ら ↑ま ↓に」と、低い音は「い」で統一され、高い音は「あ」で統一されている。それでもやはり真ん中の音程が高くなっている部分が「らま」で、その後の「から」と踏んでいて、一番のこの部分と同じパターンが見られる。

 

そして、一番と同様に「荷物も」「持つよ」が、「(に)もつも」「もつよ」で韻を踏んでいる。ということは、一番と同じ構造であれば、ここでもう一発、最後に母音が「おうお」になるものがくるはず。

 

しかも二番のサビに入る直前で最大の盛り上がりを見せる場所だから、相当にレベルの高い韻がドーンと放たれるに違いない!

 

国民的バンドであるミスチルの渾身の韻を全身で受け止めようと、全国民が母音「おうお」に期待した、その瞬間。

だからそばにいてよ

 

...あれ?

全然「おうお」じゃない。なんだこれ。「いえお」じゃないか。

 

これだけ期待させておいて、最後の最後の大事なところで、踏み外す。こんな度胸があるのは、今の日本では桜井さんしかいないだろう。

 

ずっと踏んできたのに、いきなり韻とか無視で真面目なことを言う。これは、まさに、普段おちゃらけたキャラのクラスの男子が、二人きりになった瞬間に、真顔で話しかけるような感じ。「だからそばにいてよ」という告白に近いセリフが、韻を踏まないことによって、ぐっとシリアスに聞こえる。

 

桜井さんは、こんなことを、全部わかっていてやっているに違いない。ズルい。ズルすぎる。韻を踏むことを期待させておいて踏まないことが逆にかっこいいなんて、桜井さんレベルのカリスマ性がないと無理だ。

 

まとめ

僕みたいにカリスマ性のない一般人は、これからも頑張って韻を踏むことにする。

 

この本では「しるし」の韻について解説しました。

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フリースタイルダンジョンの韻を解説する(初心者向け)

「フリースタイルダンジョン」の人気が、すごい。

かつてのボキャブラ天国のように、ここから売れたラッパーがバラエティ番組で司会をする時代が来ないものか。ラッパーって「MC」なんだから、本来そうあるべきだよね。

 

フリースタイルダンジョンとは

Zeebraがオーガナイザーとなって(ry

 

ってつい言いたくなるけど、簡単にいうと、テレ朝で火曜の深夜1:26から放送されている即興ラップバトルの番組。毎週の放送は、公式アカウントから毎週YouTubeにアップロードされるので、眠い人はこちらでチェックしてほしい。

 

ラップに興味のない友達が、よく「先週のフリースタイルダンジョン見たよ!」って報告してきてくれる。嬉しそうに報告してきてくれてこっちも嬉しいんだけど、「○○見たよ!」って普通、出てる人に言うセリフだよね。出てないから!

 

たぶん、ラップに興味がない人にしてみたら、「ラップを見た」という行為自体がもう、ラップをしている人に報告したくなるほどの経験なんだろう。それぐらい、ラップに興味がない人とラップをやっている人の間には、壁があったということならば、こういう番組をいろんな人に注目してもらえるのは、とても嬉しい。出てないけど。

 

韻がわかればもっと楽しい

せっかくこんなにみんなに見てもらえる番組ができたんだから、この中で踏まれている韻を解説したい。あくまでも初心者向けに「韻」だけを解説するので、すでにラップに詳しい人は、

  • いやそんなこと知ってるわ何を今さら
  • いやフリースタイルって韻だけがすべてじゃないしフロウとかバイブスとかサンプリングとか(ry

みたいな批判は無しでお願いします。

 

せっかくなので、最新の動画で解説したい。先週の放送分。長いので、時間ない人は18:00〜あたりから見てもらえると嬉しい。


#17/フリースタイルダンジョン

 

18:09あたりからの、ACEのターン。 

え?3000万人はファンがいますマニア?

何それ?どこ?

パプアニューギニア?タンザニア?

まず、その直前にDOTAMAが「ラッパーだったら3000万人はファンがいますマニア」と言ったのをそのまま受けて「ますマニア?」「タンザニア?」で踏む。ここから、

タンザニア

分からねぇなお前が犯罪者

いや違ぇなサンバイザでも

付けてればいいけど

今日はACEくんに負けてうぇ〜完敗だ 

南無阿弥陀(なんまいだ)

分かるか?俺の3枚刃

違ぇなこれがサンバイザ

お前スキル足んないな

と続ける。韻を踏むとは、母音を合わせること。 赤で書いた部分はすべて母音が「あんあいあ」になっていることに注目してほしい。これが「韻を踏む」ということ。

 

ちなみに、最初に「いますマニア」と言ったのはACEではなくDOTAMAのほう。それを起点に「それどこ?タンザニア?」と受けて、その「タンザニア」からこれだけの韻を繰り出す。すごすぎる。

 

さて、それを受けてのDOTAMA、この韻が使いまわしということを指摘して攻撃したあと、最後(動画の18:35あたりから)こんな風に言い放って自分のターンを終える。

知るかよお前の通訳としての能力なんて

こいつのラップ タカタカタカタカ情緒不安定

俺のほうがブチ上げてくDOTAMA

まるで反町隆史 やばし

言いたいことも言えないこんな世の中じゃ

つまり俺のラップ 猛毒なんです

 

さて、いきなりですが、ここで問題です。

DOTAMAはなぜ最後、「言いたいことも言えないこんな世の中」と言ったあとに「ポイズンなんです」と言わず、「猛毒なんです」と言ったのでしょう?

 

正解は、

能力なんて

情緒不安定

猛毒なんで

で韻を踏むため。この三つはすべて母音が「おうおうあんえ」になっている。

 

DOTAMAがすごいのは、「能力なんて」「情緒不安定」まではいいとして、そこからいきなり「猛毒なんです」に持っていくのは繋がりが悪いと感じたのか、その間にワンクッション入れること。そしてもちろんこのワンクッションの間にも韻を仕込む。

 

まず相手のラップの仕方をdisる「タカタカタカタカ」という擬音から「隆史(たかし)」を連想させ、さらにその「隆史」「やばし」で踏んだあと、自分の名前である「DOTAMA」とポイズンの「世の中」でもさりげなく踏む。 その結果、

知るかよお前の通訳としての能力なんて

こいつのラップ タカタカタカタカ情緒不安定

俺のほうがブチ上げてくDOTAMA まるで

反町隆史 やばし

言いたいことも言えないこんな世の中じゃ

つまり俺のラップ 猛毒なんで

 という、韻が複雑に絡み合ったバースが完成する。

 

聞いている側の気持ちとしてはこんな感じ。最初、「能力なんて」「情緒不安定」ときて、「もういっちょ「おうおうあんえ」がくるかな?」と期待してしまう。そこで、次の小節で話が反町隆史の話が始まり、少し裏切られた気分になる。

そのまま「隆史」「やばし」の3文字踏みで韻としてのクオリティが下がってドキドキする。このまま負けてしまうのか?という不安がよぎる。すると、「言いたいことも言えないこんな世の中じゃ!」と強めの口調でDOTAMA まるで」と踏んできて、「おっ!まだいけるか?」と再び期待してしまうと同時に「でもあと一小節しか残ってないぞ」と心配する。

しかしその心配をぶっとばす、最後の小節で「猛毒なんです」が炸裂。言いたいことも言えないこんな世の中じゃ俺のラップこそが猛毒なんだ、という結論を出すとともに、最初に貼った「おうおうあんえ」の韻の伏線を回収する!

結果、この勝負、DOTAMAの勝利。 

 

これを、全部即興でやっている。こんなことを一瞬のうちにして頭の中で考えるのが、フリースタイルの醍醐味。

 

まとめ

HIPHOPの文化もいいけど、こういった知的な側面も、 いろんな人に伝わるといいなぁ。(テレ朝さん、せっかくいろんな人に見てもらってるんだから、韻を踏んでる箇所だけテロップで色を変えたりしてわかりやすくできないですかね?)

 

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豆まきが終わった後の部屋とかけまして

今日は節分でした。イエーイ!鬼は外!サンド!パラセクト!

豆を三塁に偽投してから一塁に投げたら、ボークを取られました。

 

それはいいとして、突然ですが、ととのいました。

 

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「豆まきが終わった後の部屋」とかけまして、

 

「スキルの高いラッパー」ととく。

 

そのこころは、

 

どちらも「ビーン(美韻)を踏む」でしょう。

 

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今日はこれがどうしても言いたかった。この流れで、次回は「韻となぞかけ」について書きます。

 

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