踏む.韻 fumu.in

細川貴英のブログです。

フリースタイルダンジョンの韻を解説する(初心者向け)

「フリースタイルダンジョン」の人気が、すごい。

かつてのボキャブラ天国のように、ここから売れたラッパーがバラエティ番組で司会をする時代が来ないものか。ラッパーって「MC」なんだから、本来そうあるべきだよね。

 

フリースタイルダンジョンとは

Zeebraがオーガナイザーとなって(ry

 

ってつい言いたくなるけど、簡単にいうと、テレ朝で火曜の深夜1:26から放送されている即興ラップバトルの番組。毎週の放送は、公式アカウントから毎週YouTubeにアップロードされるので、眠い人はこちらでチェックしてほしい。

 

ラップに興味のない友達が、よく「先週のフリースタイルダンジョン見たよ!」って報告してきてくれる。嬉しそうに報告してきてくれてこっちも嬉しいんだけど、「○○見たよ!」って普通、出てる人に言うセリフだよね。出てないから!

 

たぶん、ラップに興味がない人にしてみたら、「ラップを見た」という行為自体がもう、ラップをしている人に報告したくなるほどの経験なんだろう。それぐらい、ラップに興味がない人とラップをやっている人の間には、壁があったということならば、こういう番組をいろんな人に注目してもらえるのは、とても嬉しい。出てないけど。

 

韻がわかればもっと楽しい

せっかくこんなにみんなに見てもらえる番組ができたんだから、この中で踏まれている韻を解説したい。あくまでも初心者向けに「韻」だけを解説するので、すでにラップに詳しい人は、

  • いやそんなこと知ってるわ何を今さら
  • いやフリースタイルって韻だけがすべてじゃないしフロウとかバイブスとかサンプリングとか(ry

みたいな批判は無しでお願いします。

 

せっかくなので、最新の動画で解説したい。先週の放送分。長いので、時間ない人は18:00〜あたりから見てもらえると嬉しい。


#17/フリースタイルダンジョン

 

18:09あたりからの、ACEのターン。 

え?3000万人はファンがいますマニア?

何それ?どこ?

パプアニューギニア?タンザニア?

まず、その直前にDOTAMAが「ラッパーだったら3000万人はファンがいますマニア」と言ったのをそのまま受けて「ますマニア?」「タンザニア?」で踏む。ここから、

タンザニア

分からねぇなお前が犯罪者

いや違ぇなサンバイザでも

付けてればいいけど

今日はACEくんに負けてうぇ〜完敗だ 

南無阿弥陀(なんまいだ)

分かるか?俺の3枚刃

違ぇなこれがサンバイザ

お前スキル足んないな

と続ける。韻を踏むとは、母音を合わせること。 赤で書いた部分はすべて母音が「あんあいあ」になっていることに注目してほしい。これが「韻を踏む」ということ。

 

ちなみに、最初に「いますマニア」と言ったのはACEではなくDOTAMAのほう。それを起点に「それどこ?タンザニア?」と受けて、その「タンザニア」からこれだけの韻を繰り出す。すごすぎる。

 

さて、それを受けてのDOTAMA、この韻が使いまわしということを指摘して攻撃したあと、最後(動画の18:35あたりから)こんな風に言い放って自分のターンを終える。

知るかよお前の通訳としての能力なんて

こいつのラップ タカタカタカタカ情緒不安定

俺のほうがブチ上げてくDOTAMA

まるで反町隆史 やばし

言いたいことも言えないこんな世の中じゃ

つまり俺のラップ 猛毒なんです

 

さて、いきなりですが、ここで問題です。

DOTAMAはなぜ最後、「言いたいことも言えないこんな世の中」と言ったあとに「ポイズンなんです」と言わず、「猛毒なんです」と言ったのでしょう?

 

正解は、

能力なんて

情緒不安定

猛毒なんで

で韻を踏むため。この三つはすべて母音が「おうおうあんえ」になっている。

 

DOTAMAがすごいのは、「能力なんて」「情緒不安定」まではいいとして、そこからいきなり「猛毒なんです」に持っていくのは繋がりが悪いと感じたのか、その間にワンクッション入れること。そしてもちろんこのワンクッションの間にも韻を仕込む。

 

まず相手のラップの仕方をdisる「タカタカタカタカ」という擬音から「隆史(たかし)」を連想させ、さらにその「隆史」「やばし」で踏んだあと、自分の名前である「DOTAMA」とポイズンの「世の中」でもさりげなく踏む。 その結果、

知るかよお前の通訳としての能力なんて

こいつのラップ タカタカタカタカ情緒不安定

俺のほうがブチ上げてくDOTAMA まるで

反町隆史 やばし

言いたいことも言えないこんな世の中じゃ

つまり俺のラップ 猛毒なんで

 という、韻が複雑に絡み合ったバースが完成する。

 

聞いている側の気持ちとしてはこんな感じ。最初、「能力なんて」「情緒不安定」ときて、「もういっちょ「おうおうあんえ」がくるかな?」と期待してしまう。そこで、次の小節で話が反町隆史の話が始まり、少し裏切られた気分になる。

そのまま「隆史」「やばし」の3文字踏みで韻としてのクオリティが下がってドキドキする。このまま負けてしまうのか?という不安がよぎる。すると、「言いたいことも言えないこんな世の中じゃ!」と強めの口調でDOTAMA まるで」と踏んできて、「おっ!まだいけるか?」と再び期待してしまうと同時に「でもあと一小節しか残ってないぞ」と心配する。

しかしその心配をぶっとばす、最後の小節で「猛毒なんです」が炸裂。言いたいことも言えないこんな世の中じゃ俺のラップこそが猛毒なんだ、という結論を出すとともに、最初に貼った「おうおうあんえ」の韻の伏線を回収する!

結果、この勝負、DOTAMAの勝利。 

 

これを、全部即興でやっている。こんなことを一瞬のうちにして頭の中で考えるのが、フリースタイルの醍醐味。

 

まとめ

HIPHOPの文化もいいけど、こういった知的な側面も、 いろんな人に伝わるといいなぁ。(テレ朝さん、せっかくいろんな人に見てもらってるんだから、韻を踏んでる箇所だけテロップで色を変えたりしてわかりやすくできないですかね?)

 

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豆まきが終わった後の部屋とかけまして

今日は節分でした。イエーイ!鬼は外!サンド!パラセクト!

豆を三塁に偽投してから一塁に投げたら、ボークを取られました。

 

それはいいとして、突然ですが、ととのいました。

 

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「豆まきが終わった後の部屋」とかけまして、

 

「スキルの高いラッパー」ととく。

 

そのこころは、

 

どちらも「ビーン(美韻)を踏む」でしょう。

 

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今日はこれがどうしても言いたかった。この流れで、次回は「韻となぞかけ」について書きます。

 

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濃度98%の韻

週末、台湾に来ています。

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コンビニで買ったウーロン茶。韻が濃いらしい。

 

「濃い韻」って何だろう

きっと中国語で「韻」には何か意味があるんだろうけど、調べてしまったら面白くないからやめておこう。きっとこれを飲むといつも踏む韻が、濃くなると信じて飲む。

 

ところで、日本語ラップでは、韻のレベルが高いことを表すときには、「固い」という形容詞を使うのが一般的だ。「韻が固い」とか「カッチカチ(またはガッチガチ)の韻」とか、よく言う(逆に韻のレベルが低いことは「韻が柔らかい」ではなく「韻が甘い」ということが多い)。

 

じゃあ固い韻ってどういう韻かというと、一致している母音の数が多かったり、同じ母音で踏み通している回数が多かったり、僕は合計で五つの要素を「韻が固い」の定義にしているんだけど、詳しい解説は本に譲るとして...

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「固い韻」ならぬ「濃い韻」とは

このウーロン茶を飲みながら、「濃い韻」という言葉を定義したくなった。

韻が「濃い」という感じを頭の中で想像してみたら、「固い韻」の五つの定義には入らない、次の要素が浮かんだ。

 

「韻に関与しない文字数が少ない」

 

どうこれ?「濃い」という言葉は通常、全体の割合に対してその要素が占める割合が高い様子を表す。韻に濃度というものがあるとすれば、それは、韻に関与している文字数だろう。

 

たとえば、

台湾で見つけて飲んだ

韻が濃くなるウーロン茶

 なら、「飲んだ」「ロン茶」「おんあ」で母音が同じ。

それ以外の部分は「韻に関与しない部分」だから色は黒のまま。この場合、「韻に関与している部分(赤の部分)」は全体の20%ぐらい。だから濃度20%の韻。

 

韻の濃度を上げたければ、

台湾着いたらすぐ飲んだ

韻が濃くなるウーロン茶

のようにすれば、「すぐ飲んだ」「ウーロン茶」「ううおんあ」で同じになるから、韻濃度が45%ぐらいに上がる。

 

韻濃度90%超え

手前味噌で恐縮だけど、ここで言う「韻濃度」を極めようと頑張ったことがあったのを思い出したから、紹介させてほしい。4年ぐらい前に作った、ラジオ体操の音楽に合わせてラップする「ラップ体操」という曲。


ラップ体操 Beagloove

この曲の3:30あたりからが僕の担当部分なんだけど、そこを聴いてほしい。

三番手俺

看板背負って

頑張ってOK

OKなら

のっけから

乗ってかな

でもOKじゃないなら

早計だな

まじもう最高

ラジオ体操

歌詞の内容

価値のないよう

いつもどおり、同じ母音の部分には同じ色をつけた。赤い部分はすべて母音が「あんあえおえ」、青い部分はすべて「おえああ」、緑色の部分はすべて「あいおあいお」になっている(いつもどおり、「ん」「っ」「ー」はカウントしてもしなくてもいいというのが韻のルール)。

ここで注目してもらいたいのは、色が付いていない(黒の)部分の少なさ。つまり、韻に関与していない文字が、極端に少ない。韻濃度90%超えに成功。

 

このあと、

健康的の 結構適当

テンションでキモくても

そりゃこなれた伝統芸能

手元にゃ壊れかけのレディオ

と続いていくんだけど、今度は赤の部分の母音がすべて「えおえいお」になっている。 え?今度は韻濃度が低いって?よく見てくれ!

てもそりゃこなれた伝統芸能

手元にゃ壊れかけのRadio

 実は、ここの後半の部分、全部母音が一緒。「えおおあおあえあえおえいお」が完全に一致。

一応テーマが「ラジオ体操」なので、「壊れかけのRadio」という徳永英明の名曲のタイトルを韻用に引用して、ラジオ体操を「伝統芸能」に見立てて踏む。だから意味もなく無理やり母音を合わせてるわけじゃない。

 

その結果、

健康的の 結構適当

テンションでキモても

そりゃこなれた伝統芸能

手元にゃ壊れかけのレディオ

こんな感じで色付けすると、もう色付けされない文字は「く」の一文字だけになってしまう。韻濃度98%ぐらいかな。濃すぎ。

書くか迷ったけど一応書くと、ケインコスギ。

 

まとめ

自分で踏んだ韻を自分でさんざん自慢したあとに、ケインコスギとかいうただのダジャレを言うのは本当にやめたほうがいい。でもそのあとに続けて武蔵小杉って書きたい気持ちを抑えられたことは評価してほしい(いま書いたけど)。

 

ちなみにウーロン茶の味は普通でした。

 

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「韻問題」そして韻とダジャレの違い

先週放送された「ナカイの窓」のラッパースペシャル。その中でR-指定が言及していた「韻問題」について、深く考えてみる。

 

韻問題って何?

「ラップでは韻を踏むべきか、それとも踏まなくてもいいか」という、長年にわたり議論されてきたが未だに結論の出ていない問題。

m.c.A•Tは、同番組内で「自分たちの時代は韻が浸透しておらず、韻を踏むとダジャレと思われるため意識的に踏まないようにしていた」との旨の発言もしていた。

 

韻とダジャレの違いって何? 

これは何度も説明してきたけど、「アルミ缶の上にあるミカン」がダジャレである理由は、 「あるミカン」の部分が、母音だけでなく子音まで同じになっているってこと。

一方で韻は、母音を合わせるだけでいいから、「アルミ缶」と韻を踏みたいのなら「待つ時間」「熱いパン」「ガスピタン」とかでいい。

あるみかん

まつじかん

あついぱん

がすぴたん

こんな感じで、全部母音が「あういあん」っていう具合。

 

たとえば番組内では、「近藤春菜」と韻を踏めと言われてR-指定が「温厚な豚」とdisるシーンがあったけど、

こんどうはるな

おんこうなぶた 

で、両方とも母音が「おんおうあうあ」になっている。こんな感じで少なくとも母音が合っていれば、韻。

 

一方で、中居くんが番組内で披露していた即興ラップ「春菜、食べるな、頑張るな」は、頑張って「るな」を子音ごと合わせようとしてしまうがあまり、2文字以上踏むことができなくなってしまった(けど、もちろん初心者で即興であれだけラップができた中居くんは、普通にすごいと思った)。

大事なのは、韻を踏むときは子音のことは忘れていいということだ。たとえばラップに興味がない人に「遠足」で韻を踏んでみてってお願いすると、だいたい「豚足」とか「反則」とかが返ってくる。「そく」を子音ごと合わす必要はないのに。それより「煙突」とか「メントス」とか、母音が4文字とも「えんおう」で合ってることを重視すべき。

 

韻で重要なこと

子音は合わす必要がないんだから韻のほうが条件は緩いわけで、条件が緩い分「数をこなす」ことと「メッセージ性をちゃんと持たせる」ことが重要になってくる。

 

ここで言う「数をこなす」というのは、「るな」「ぶた」の2文字だけで踏むのではなく、「こんどうはるな」「おんこうなぶた」の7文字で踏む、という意味の数(韻の文字数)

そして、「こんどうはるな」「おんこうなぶた」の2回だけ韻を踏むのではなく、さらに「根性あるな」「ほんとグダグダ」を追加して4回にする、という意味の数(韻の回数)

 

この韻の文字数と、韻の回数という二つの意味での数を増やしながら、メッセージ性を保つことも重要。「アルミ缶の上にあるミカン」は、別にミカンがアルミ缶の上に置いてあったところで別に誰も嬉しくも悲しくもないけど、「近藤春菜、温厚な豚」はdisとして成立している。

 

これが、韻とダジャレの基本的な違い。

 

で、韻問題はどうなのか

韻問題について書こうと思ったのに、韻とダジャレの違いについて書いてしまった。でも実は、このダジャレとの違いをこれだけ説明しないといけないことこそが、韻問題の核心のような気もしている。

 

ラップで韻を踏むべきかどうかについて、僕の考えは、そりゃ踏んだほういいと思う。だって踏んだほうが聞いてて気持ちいいもん。でもそれは、韻を踏もうとするがあまり、本来言いたいメッセージから逸れてしまうということがない、という前提での話。

 

韻問題は、「メッセージ性を犠牲にしてまで踏んだほうがいいか」が論点なのであって、同じメッセージ性を保てるのであれば、そりゃ踏まないより踏んだほうがいいに決まってる。たとえば「あのとき俺は高校生」って歌詞があったとして、そのあと「そして東京に出てきた」って言いたいとする。このとき「東京に」「東京へ」とまったく同じ意味だから、それなら「高校生」と韻を踏んでいる「東京へ」ほうを選んで「そして出てきた東京へ」にしたほうがいい。

 

ここまでは、誰もが「絶対踏んだほうがいい」と思う部分で、韻問題の範囲外な気がする。問題はこのあと、この韻にしばられて、言いたくもない言葉を並べ出したり、逆に言いたいことが言えなくなってしまったりすることなんだと思う。

 

日本人の韻リテラシー 

韻を踏むと伝えたいメッセージから少しずれてしまうような場合、どうするかの判断は、「頑張って母音を合わせたことを評価してくれる人がどれだけいるか」に完全に依存する。これが、まさに僕が「韻リテラシー」と呼んでるもので、m.c.A•TがDA PUMPに韻を踏ませなくて正解だったのも、国民の韻リテラシーが追いついてなかったからだと思う。

 

当時と比べて、今、国民の韻リテラシーが上がったかというと、たいして上がってないと思う。だから現状では、韻を踏まなくてもそれで言いたいことがちゃんと言えるなら、それでいいと思う。

 

ただ、韻を踏まないんだったら絶対に、ちゃんと言いたいことを言え、とは思う。中途半端な韻みたいな韻じゃないやつを残して、そのせいで言いたいこと言えてないのは最悪だ。言いたいことも言えないし、踏みたい韻も踏めないこんな世の中は、まじで、ポイズンだ。

 

まとめ

途中で「言いたいことが言えない」って話になってからは、ただポイズンって言いたいだけになってしまって申し訳ない。でも、ポイズンって言いたいのにそれを言えないこんな世の中じゃそれこそがポイズンだから、言ったし、後悔もしてない。

 

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小沢健二は韻を踏む天才

小沢健二が活動再開。嬉しすぎる。 

natalie.mu

僕は小沢健二が好きすぎる 

まず大前提として、僕がオザケンが好きすぎる。

好きな要素を挙げ始めたらきりがない。韻以外の要素も好きだ。でもこれは韻についてのブログだから、ここでは韻という観点からのみ、オザケンの曲が心地良い理由を書きたい。

 

リズムに合わせて韻を踏む天才 

ラッパー以外の日本人で、かつみんな知ってるような人で、韻という観点から天才だと思うのは、ミスチルの桜井さんと、オザケンの二人。異論は認めるけどこれを読んでからにしてほしい。

 

「強い気持ち・強い愛」という曲がある。数年前にでんぱ組がカバーしたことでも話題になった。(この曲は作曲は小沢健二ではないんだけど、作詞は小沢健二)

Stand up, ダンスをしたいのは誰?

というフレーズを4回繰り返すことから、この曲は始まる。サビの盛り上がりもいいんだけど、この部分のほうが印象に残ると言っても過言ではないと思う。

 

なぜこの言葉が、こんなに心地良いのか。ひらがなにしてみると、よくわかる。

すたんだっ、だんすをしたいのはだれ?

この部分は軽やかな四つ打ちのリズムが印象的だけど、ドラムが「たんたんっ、たーん、たーん、たん」という感じで打たれるのに合わせて実は、

っ、んすをしいのはれ?

と、「た」or「だ」の文字が来るようになっている。

 

もう一度言います。軽やかなドラムの音「たんたんっ、たーん、たーん、たん」にかぶせて、「(す)た(ん)だっ、だーん(すをし)た(いのは)だ(れ)」。

 

ルーツはやっぱり英詞?

オザケンが「よし、こことここで母音を合わせて」っていちいち考えながら作っているかというと、たぶんそんなことはなくて聞こえがいいように作った結果たまたま母音が合ったんだろう

......とか言いたくなるところだけど、オザケンに関して言えば正直すごく意識しながら作り込んでると思う。「よし、こことここで母音を合わせて」っていちいち考えてると思う。 

 

東大の文学部を卒業してるってのももちろんあるけど、フリッパーズギター時代から英語の曲もたくさん出してきて、やっぱり英語の歌では基本だけど当たり前のように韻は踏んできた。百戦錬磨。

 

フリッパーズギター時代の「THE CHIME WILL RING / やがて鐘は鳴る」の一節。

Flow my tears for my dignity

Say three cheers for nobility

Though we're all awake

It's only a grapefruite cake

Just the same

色を付けた単語が、同じ色同士で韻を踏んでいる。英語の歌で韻を踏むのは自然なこと。ただここまで徹底してやってるのは珍しい。

詳しくはこないだ書いたこの記事を読んでほしい。

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 名曲だって負けてはいない

この韻の踏み様は、その後の全盛期にも変わらない。誰もが知る名曲「ラブリー」の出だしは、

夢で見た彼女と会って FEEL ALRIGHT

誰かのちょっと待ってなんて知らない

ここまで読んで、はいはい、どうせ「ALRIGHT」と「知らない」の韻を解説するんでしょ?と思うかもしれないけど、違います。

 

もう少し注意深く見ると、

夢で見た彼女と会って FEEL ALRIGHT

かのちょっと待ってなんて知らない

 というふうに、「かのじょとあって」「かのちょっとまって」が韻を踏んでいる。(この二つのメロディーをずらしたのはなぜなのか本人に聞いてみたい)

 

数え始めたらきりがないオザケンの韻

もちろんさっきの「FEEL ALRIGHT」と「知らない」も踏んでいる。そしてこの曲は、この調子で各文の最後の母音が面白いように合ったまま最後までいく。

LIFE IS A SHOWTIME すぐ分かるの

君と僕と落ちなくちゃ

細かいけどこんな感じ。これが偶然じゃくて意識的なものだということは、同じ部分の二番の歌詞も同じ場所で韻を踏んでいることで証明できる。

LIFE IS A SHOWTIME ベル鳴るよう

こんなスリルを刺すの

こういったあたりも意識しながら最後まであらためて聴いてもらいたい。

 

他にも解説したい曲がいっぱいあるけどそれはまたそのうち。本当にたくさんある。

むしろ、曲中にラップが入ってる「今夜はブギーバック」が一番踏んでないんじゃないかってレベル。いやそれはさすがに言いすぎか。

 

まとめ

というわけで、小沢健二のこれからに期待が高まるばかり。

 

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武蔵小金井が紛らわしいたった3つの理由

東京は大雪で大混乱だった。

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というわけで今日は武蔵小金井駅について書く。これから書くことは、よく言われていることだと思うけど、誰かがちゃんとまとめないといけないので、僕がやります。

 

隣の東小金井と紛らわしい

武蔵小金井の隣は東小金井。その隣の武蔵境もかなりのレベルだけど、いったん武蔵境のことは忘れて、東小金井との紛らわしさだけに着目する。

この二つの駅が韻的にまぎらわしい理由は、母音がそれぞれ

うあいおあえい

いあいおあえい

なので、まぁ最後の「おあえい」が一緒なのは両方小金井だから仕方ないとしても、その前も二文字母音が合っちゃってること。

 

そして、唯一韻が踏めてないせめてもの救い的存在の最初の文字が、「む」と「ひ」で、両方とも子音が地味。カ行とかタ行みたいな破裂音が含まれる音ならよかったんだけど、むしろそういう音は二文字目に来ちゃってる。

しこがねい

しこがねい

普通に発音すると、赤にした文字にアクセントが置かれると思う。このアクセントの位置以降、母音どころか子音までもがすべて一致するという最悪の結末。

アクセントの位置より後の文字が一緒だと、めちゃくちゃ綺麗に踏んでいるように聞こえてしまう。これは英語の韻のルールでいうところの完全韻(Perfect Rhyme)というやつ。こんなところでPerfect Rhyme出してこなくていいよ、中央線。

Perfect Rhymeについて詳しくは、Wikipediaを見てほしい。

押韻 - Wikipedia

 

小金井と武蔵小金井は全然違う場所

ここからはもう韻は関係ないんだけど、紛らわしい理由その二は、小金井駅の存在。小金井駅は栃木県の、全然違う場所

 

東京駅からだと、上野東京ラインに「小金井行き」があって、中央線快速には「武蔵小金井行き」があって、間違えると全然違うところに連れて行かれる。いや、そりゃ同じ地名が二つあって、区別するために「武蔵」を付けるのはわかるけど、じゃあその横の「東小金井」は何だよ。「東武蔵小金井」じゃないのかよ。

 

「ムサコ」が多すぎる

三つ目はもちろんこれ。そう、東京にはまだ「武蔵小杉」と「武蔵小山」が存在する。両方とも急行が止まるメジャーな駅。ムサコとか略そうものならもうカオス。

なんでもかんでも武蔵を付けるな。コムサイズムならぬ、ムサコイズム

 

まとめ

以上、韻からだいぶ脱線してしまった。武蔵小金井(うあいおあえい)について無駄におしゃべり(うあいおあえい)しすぎました。

 

おあとがよろしいようで。

 

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厚切りジェイソンと韻

ジムでたまたま付いてたテレビに厚切りジェイソンが出ていたのでその話。

 

厚切りジェイソンになりたい

ビジネスマンとしてのキャリアに興味があって本名のほうで調べてたら、LinkedInで厚切りジェイソンを見つけた。IT企業役員ってのは知ってるけど、コンピュータサイエンスでマスター取ってかつてはエンジニアとして活躍してたのね。すごいなぁ。

 

僕もWebエンジニア件ラッパーなので、なんというか、まじでこういう生き方をしたいという目標ではある。でも、この話をしたいがために厚切りジェイソンについて書き始めたわけじゃない。

 

あと、別に「Linked 韻」とか言いたくて書き始めたわけでもない。

 

アメリカでは韻は当たり前

で、ちゃんと韻の話にいくと、厚切りジェイソンの名前の由来を調べてみると、「厚木に住んでいたのと、胸板が厚いから。それに本名のジェイソンを付けた」って書いてあるのね。

厚切りジェイソン - Wikipedia

これは本人談っぽいけど、「厚切りベーコン」にかけたというどう考えても当たり前の事実にまったく触れられていないあたり、いかに英語圏では韻を踏むことが生活の一部か伝わって来る。

 

韻を踏まないと怒られる小学生

このLITTLEさんとの対談のときにも話題に出たんだけど、アメリカとかの英語圏では、小学校で先生に「詩を作ってきなさい」っていう宿題を出されたら、韻を踏まないと怒られる、と。

realsound.jp

日本人が「俳句を作ってきなさい」っていう宿題を出されて五七五にしてこなかったら怒られるよね。それとまったく同じ感覚。

それぐらい、英語圏においては韻というのは当たり前の存在で、ラップだけでなく普通のその辺の歌も韻だらけ。

 

もう本当にほぼ全部の曲がそうだから例は何でもいいんだけど、最近まで街中でよく流れてたと思うからマライアキャリーのクリスマスのやつ。

I just want you for my own

More than you could ever know

Make my wish come true

All I want for Christmas is you

 

こんな感じで、英語の韻はラップに限らない。生活の一部。日本人にとっての五七五と同じで、全員が理解しているもの。

 

厚切りジェイソンが芸名を考えるとき、きっといろんな韻の候補が浮かんだに違いない。その中から、ベーコンを選んだのは、厚木に住んでいるという事実と引っ掛けられるから。きっとこういう順番。そう、最初に韻ありきなのである。たぶん。

 

まぁ英語にはいろいろ韻の定義があって、ジェイソン(Jason)とベーコン(Bacon)は厳密には不完全韻(Imperfect rhyme)なんだけど、その話はそのうち。

 

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