週末、台湾に来ています。
コンビニで買ったウーロン茶。韻が濃いらしい。
「濃い韻」って何だろう
きっと中国語で「韻」には何か意味があるんだろうけど、調べてしまったら面白くないからやめておこう。きっとこれを飲むといつも踏む韻が、濃くなると信じて飲む。
ところで、日本語ラップでは、韻のレベルが高いことを表すときには、「固い」という形容詞を使うのが一般的だ。「韻が固い」とか「カッチカチ(またはガッチガチ)の韻」とか、よく言う(逆に韻のレベルが低いことは「韻が柔らかい」ではなく「韻が甘い」ということが多い)。
じゃあ固い韻ってどういう韻かというと、一致している母音の数が多かったり、同じ母音で踏み通している回数が多かったり、僕は合計で五つの要素を「韻が固い」の定義にしているんだけど、詳しい解説は本に譲るとして...
「固い韻」ならぬ「濃い韻」とは
このウーロン茶を飲みながら、「濃い韻」という言葉を定義したくなった。
韻が「濃い」という感じを頭の中で想像してみたら、「固い韻」の五つの定義には入らない、次の要素が浮かんだ。
「韻に関与しない文字数が少ない」
どうこれ?「濃い」という言葉は通常、全体の割合に対してその要素が占める割合が高い様子を表す。韻に濃度というものがあるとすれば、それは、韻に関与している文字数だろう。
たとえば、
台湾で見つけて飲んだ
韻が濃くなるウーロン茶
なら、「飲んだ」と「ロン茶」が「おんあ」で母音が同じ。
それ以外の部分は「韻に関与しない部分」だから色は黒のまま。この場合、「韻に関与している部分(赤の部分)」は全体の20%ぐらい。だから濃度20%の韻。
韻の濃度を上げたければ、
台湾着いたらすぐ飲んだ
韻が濃くなるウーロン茶
のようにすれば、「すぐ飲んだ」と「ウーロン茶」が「ううおんあ」で同じになるから、韻濃度が45%ぐらいに上がる。
韻濃度90%超え
手前味噌で恐縮だけど、ここで言う「韻濃度」を極めようと頑張ったことがあったのを思い出したから、紹介させてほしい。4年ぐらい前に作った、ラジオ体操の音楽に合わせてラップする「ラップ体操」という曲。
この曲の3:30あたりからが僕の担当部分なんだけど、そこを聴いてほしい。
三番手俺
看板背負って
頑張ってOK?
OKなら
のっけから
乗ってかな損
でもOKじゃないなら
早計だな
まじもう最高
ラジオ体操の
歌詞の内容が
価値のないように
いつもどおり、同じ母音の部分には同じ色をつけた。赤い部分はすべて母音が「あんあえおえ」、青い部分はすべて「おえああ」、緑色の部分はすべて「あいおあいお」になっている(いつもどおり、「ん」「っ」「ー」はカウントしてもしなくてもいいというのが韻のルール)。
ここで注目してもらいたいのは、色が付いていない(黒の)部分の少なさ。つまり、韻に関与していない文字が、極端に少ない。韻濃度90%超えに成功。
このあと、
健康的の 結構適当
テンションでキモくても
そりゃこなれた伝統芸能
手元にゃ壊れかけのレディオ
と続いていくんだけど、今度は赤の部分の母音がすべて「えおえいお」になっている。 え?今度は韻濃度が低いって?よく見てくれ!
てもそりゃこなれた伝統芸能
手元にゃ壊れかけのRadio
実は、ここの後半の部分、全部母音が一緒。「えおおあおあえあえおえいお」が完全に一致。
一応テーマが「ラジオ体操」なので、「壊れかけのRadio」という徳永英明の名曲のタイトルを韻用に引用して、ラジオ体操を「伝統芸能」に見立てて踏む。だから意味もなく無理やり母音を合わせてるわけじゃない。
その結果、
健康的の 結構適当
テンションでキモくても
そりゃこなれた伝統芸能
手元にゃ壊れかけのレディオ
こんな感じで色付けすると、もう色付けされない文字は「く」の一文字だけになってしまう。韻濃度98%ぐらいかな。濃すぎ。
書くか迷ったけど一応書くと、ケインコスギ。
まとめ
自分で踏んだ韻を自分でさんざん自慢したあとに、ケインコスギとかいうただのダジャレを言うのは本当にやめたほうがいい。でもそのあとに続けて武蔵小杉って書きたい気持ちを抑えられたことは評価してほしい(いま書いたけど)。
ちなみにウーロン茶の味は普通でした。
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