先日、韻の神様であるICE BAHNの皆さんにインタビューさせてもらう機会をいただいた。
最近ではメンバーのFORKさんがフリースタイルダンジョンでモンスターとして活躍し再び注目を浴びているが、韻の世界においては長年にわたりトップに君臨している人達である。
このブログでは、ICE BAHNがなぜ韻の神様なのかを解説する。すでにICE BAHNが好きな人にとっては当たり前の話になると思うので、これ以降は読まずにすぐに上の記事を読んでもらいたい。
以降は、ICE BAHNのことを知らない、もしくはフリースタイルダンジョンで初めて知った、という人向けに書く。
「越冬」の衝撃
ICE BAHNが2003年に「越冬」という曲を出したときの衝撃は、ラップ好きなら誰もが覚えているはずだ。ここでは、解説がわかりやすいFORKさんのバースで解説をする。
0:50からを聞いてもらいたい。
この氷河期じゃ能書きじゃなくてひねる脳がキー
要するに猛吹雪を毛布抜きで超えてく
肉弾戦でテクニック出せん奴は
脱落だ 辛くても立つラクダみたいに...
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ひょうがき【氷河期】
のうがき【能書き】
のうがきー【脳がキー】
ようするに【要するに】
もうふぶき【猛吹雪】
もうふぬき【毛布抜き】
てくにくだんせん【(越え)てく肉弾戦】
てくにっくだせん【テクニック出せん】
だつらく【脱落(だ)】
だつらく【(脱落)だ 辛く】
たつらく【立つラク(ダ)】
いつもなら、どことどこの母音が一緒ですよ、と解説を詳しくするのだが、これはもう明らかすぎて解説の必要がないと思う。母音だけでなく子音までほぼ一致していて、ダジャレと言っても過言ではないレベルなのに、音に乗せるとこんなに気持ちよくてかっこいいとは。
韻だけにとどまらない言葉遊び
上のインタビュー記事の中でも出てきた話で、僕が一番興味深いと思った箇所は、こちらの部分。
(上の動画1:49あたりから)
生活が逆転して活性化
いつか成果出れば達成感
まるで活性炭 耳を貸せ一旦
やばいとこ見てまた生還した...
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かっせいか【活性化】
かせいか【(いつ)か成果】
たっせいかん【達成感】
かっせいたん【活性炭】
かせいったん【貸せ一旦】
たせいかん【(ま)た生還】
「カ行」「タ行」が相性がいいというのはインタビュー内での玉露さんの言葉だが、ここではFORKさんが「カ行」と「タ行」の入れ替えを多用している。
それだけでなく、今回FORKさんがインタビューで語ってくれたのは、「生活が逆転して」という導入から「生活」の二文字の順序を逆にして「かっせい(活性)」とするという韻ではない言葉遊びからこの韻が始まるということ。そこから「たっせいかん」「かせいったん」で、「た」と「か」の入れ替えが始まり、それぞれに対応するように「たせいかん」「かせいったん」という、母音でない「っ」「ん」を無視すると全く同じ音になるものの三通りの組み合わせが網羅されている。
かせいか(ベース)
かっせいか【活性化】 / かせいか【(いつ)か成果】
たせいか(「か」を「た」に)
たっせいかん【達成感】 / たせいかん【(ま)た生還】
かせいた (「か」と「た」を入れ替え)
かっせいたん【活性炭】 / かせいったん【貸せ一旦】
そして意味も通っているところがすごい。そもそも生活が逆転して...というのは、韻を踏むために無理やり言った言葉ではなく、その直前に家を出るのは0時過ぎというくだりから繋がっている。
...見てくれ 意地になりすぎてクレイジー
家出る頃には過ぎてく0時
くれいじ【(見て)くれ 意地(に)】
くれいじー【クレイジー】
くれいじ【(過ぎて)く0時】
もう全部母音も子音も一緒...まさにクレイジー。
ここではFORKさんのバースのみを解説したけど、この曲は最初から最後まで三人とも踏みまくり。というかこの曲だけでなくICE BAHNはすべての曲がこんな感じ。
ということで、ICE BAHNのことを知ってもらった上でインタビューを読んでもらえたら幸いです。
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